▲ローグ・ワン▼

STAR WARS外伝映画『ローグ・ワン』のノベライズ、Alexander Freed『Rogue one : a Star Wars story』に続き、児童向けジュニアノベルのMatt Forbeck『Star Wars : Rogue One : a junior nove』も読みました。
ノベライズでは自分の英語力の都合上チアルート出番のところのみ拾い読みだったのですが(笑)、ジュニアノベルは一章が2から4ページずつと短く表現も簡潔なので自分にも読めるかなあとチャレンジ。
というわけで、またしてもその感想を綴ります。とはいえ、記述するのはまたチアルートとベイズの出番のあるところが中心です。

ジュニアノベルは基本映画のセリフをなぞりその間を説明で埋めるような感じなのですけど、それでも映画を補完したり、ノベライズ版との描写の違いなどを比べるのが楽しいなと思ったので、そういったことを中心に記述したいと思います。

ですのでノベライズ版、Alexander Freed『Rogue one : a Star Wars story』の感想ともリンクして書いている部分もあります。お気がむかれましたらそちらもどうぞ。
比較して書く場合には上記を「Alexander版ノベライズ」、こちらをジュニアノベル版と表記します。
ネタばれ含むというかネタばれしかありませんのでご注意。

本文の引用はMatt Forbeck『Star Wars : Rogue One : a junior nove』より行なっています。参照箇所はハードカバー版で表示しています。
私の乏しい英語力なので理解足らず読み間違いもあるでしょうし私解釈の妄想込み込みですがご容赦ください。そこ徹底的に読み間違えてるよ！とか、ここはこういう意味だよ！、というところがあればお教えいただけますとうれしいです（@booksbanana）。

それでは読んでやろうというご奇特な方、どうぞ。
*2017/9/12公開

目次

Chap10 ジェダ市街	Chap12 ジェダ市街	Chap13 ジェダ市街	Chap14 ソウ隠れ家	Chap17 ソウ隠れ家	Chap19 ソウ隠れ家	Chap20 ソウ隠れ家
Chap22 Uウイング内	Chap25 イードゥー	Chap26 イードゥー	Chap32 貨物シャトル内	Chap35 ヤヴィン4	Chap36 ヤヴィン4	Chap38 貨物シャトル内
Chap39 スカリフ	Chap45 スカリフ	Chap58 スカリフ	Chap60 スカリフ	感想

ジン視点。
チアルート&ベイズ登場シーン。

ジンは反乱軍のキャシアンとK-2SOとともに、父親ゲイレンからのメッセージを携えソウ・ゲレラの元へやってきたという帝国軍パイロットを探しにジェダへやってくる。
ジェダシティの市場で、キャシアンがここで待ってろと言い離れた間に、ジンはチアルートの詠唱を聞き分けそちらに注意を向けます。

She glanced around and spotted the owner of the voice: a man dressed in monk's robes. His eyes were a pale blue, and he seemed to be addressing no one in particular-perhaps everyone-as he repeated over and over, "May the Force of others be with you...May the Force of others be with you..." Jyn realized he was blind.
The man's droning fell silent for a moment, and then he said, "Would you trade that necklace for a glimpse of your future?" Jyn froze. （p.26）

ジンは見回し、その声の主である僧衣を身につけた男を見つける。彼の目はパールブルーで、「あまねくすべてのもののフォースとともに」という詠唱を繰り返している。ジンは彼が盲目であることに気がついた。
男は一瞬詠唱をとめると、「そのネックレスと交換に未来を覗いてみないか？」と言ってくる。ジンは驚いて凍り付いた。

Alexander版ノベライズでは、ジンが胸のカイバー・クリスタルがチアルートと呼応するように熱をもつのを感じたりする場面があるのですけど、こちらではそういった描写はありません。あちらではチアルートはカイバー・クリスタルの共鳴を聞くことができるという設定があり、それによってまるでジンのネックレスとチアルートの杖におさめられたふたつのカイバー・クリスタルが共鳴を起こしそれをチアルートが感じ、ジンもまたそれを微弱ながらも感じたかのような記述でした。だからこそチアルートがなぜジンがクリスタルのネックレスをしているか気付いたのか、という謎が解決できると思ったのですけど、こちらでは結局理由はわからないことになります。

Alexander版ノベライズでは外見の描写も細かいですが、こちらでは簡潔に僧衣の男と書かれています。目の描写はあちらではミルキー（乳白）でしたがこちらではペールブルー（淡い青）で、どちらにしろ音的にかわいらしく美しい…。

Jyn noticed another man standing behind the monk. He seemed to be the opposite of Chirrut. He wore a red chest plate of armor rather than robes, and his hair was long and shaggy. Somehow, though, the two seemed perfectly matched, like brothers who'd each gone a different way.（p.27）

Alexander版ノベライズでは、ジンのネックレスに気付いたチアルートの洞察はきっとインチキで片棒かついでる奴が近くにいるはずだと思いベイズを見つけるという流れでしたが、こちらではそういった勘ぐりはなく普通に背後にいるベイズに気付きます。ローブの下に赤い胸当てのついたアーマーを着た、長く乱れた髪をした男。
"the two seemed perfectly matched, like brothers who'd each gone a different way"という描写はAlexander版ノベライズにはなかったのでおもしろい。ふたりの見かけは全く違っているのに、まるで道を違えはしたが全く一対のように調和した兄弟のようだ、と書かれています。

映画と同じく「なぜネックレスをしていることを知ってるの？」「知りたいなら金払え」「カイバー・クリスタルについて何を知っている？」「父からジェダイのライトセーバーの力の源だと聞いたことがある」という会話がされた後に、キャシアンによってジンはふたりから引き離されます。

ジン視点。
ストームトルーパーに捕らえられチアルートが現れるシーン。

Off to the side, someone called out, "Let them pass in peace!"
Jun-along with everyone else in the street-turned to see the odd blind monk she'd med before, sitting in a doorway. His named was Chirrut. right? He unfolded himself and got to his feet, his walking stick in one hand. He approached the troopers as if he knew exactly where they were.（p33-34）

盲目でありながらまるでどこにストームトルーパーがいるのかわかっているかのように迷いなく足を進めてくる僧。チアルートはブラスターを避ければ後ろのストームトルーパーに当たる位置をちゃんと狙ってジンたちとストームトルーパーの間に入ってくるのですよねもちろん、と映画を思い出して楽しくなる(笑)

Then he began chanthing a prayer Jyn had never heard before.
"The Force is with me. And I am in the Force. And I fear nothing. For all is as the Force wills it."（p.34）

チアルートはこれまでジンが聞いたことのない詠唱「フォースは我と共にあり。我はフォースと共にあり。恐れるものは何もない。全てはフォースの導きのままに」を唱える。このシーン大好きです。
…ん？映画でもAlexander版ノベライズでもここは"The Force is with me, and I am with the Force "と"I am with"ですけど、こちらでは"in"になっていますね。

ジン視点。
そして戦闘開始。

If this mad monk was going to sacrifice his life for them, she planned to take advantage of it.
She did't have to worry about Chirrut thought. The monk swept in close to the stormtroopers-too close for them to fire at him again-and began swinging his walking stick. He smacked down one trooper with a blow to the head and then came around and swept another off his feet.（p.35）

Alexander版ノベライズではmartyring（殉教者）なの？zealot（狂信者）なの？とわざわざ危険なところに現れるチアルートに不謹慎にも笑ってしまうジンさんでしたが、こちらではmad monk（狂僧）になっていて、どちらにしろ命を捨てるかのような信じられない彼の行動に驚愕しつつもこの機会を利用しようとキャシアンとジンが身構える中、思いがけずこの盲目の僧は強くストームトルーパーを杖1本でなぎ倒していく上に、ブラスターの射撃まで避けまるで図ったかのように相撃ちまで起こさせる。やがて全てのストームトルーパーが彼の足元に倒れ伏した。
しかし新たな一団が現れ、チアルートが攻撃するには離れすぎていた。

Before the new arrivals could open fire, though, a raggedy soldier stepped out from the other side of the street and blew them away. Jyn recognized him as the man who'd been standing behind Chirrut before. If he'd looked dangerous then, he proved it now, taking dawn each of the stoomtroopers with a barrage of well-placed shots.
When he was done, the soldier strolled across the street and haned the blind monk a lightbow. Hyn wondered how Chirrut could hope to use it, but he held it like he'd been born to it.（p.35-36）

向こう側から男が現れ掃射しストームトルーパーを倒す。ジンは彼が通りでチアルートの後ろに立っていた男だと気付く。彼は危険な男に見えたが、今は彼女たちを救ってくれた。
彼は射撃を終えると通りをこちらへやってきて、盲目の僧にライトボウを渡した。ジンはどうやって彼がこのライトボウを使うのだろうと不思議に思ったが、彼はごく自然にそれを受け取る。

Alexander版ノベライズでは特にライトボウには描写だけで感想はないジンさんでしたが、こちらでは不思議に思って眺めている。普通はそうだよね…。
ところでこの児童書版ではほぼチアルートはmonk、ベイズはsoldierと名前以外では呼ばれ続けます。Alexander版ノベライズではローグ・ワンメンバーにも行動をともにする反乱軍兵士たちにもふたりまとめてGuadiansと呼ばれることが多くてそれがこのジェダだけではなく仲間たちをも守る護り手、文字通り守護者であるように思われてとてもすてきだったのですが、こちらのジュニアノベル版では最初にキャシアンがふたりについて彼らはウィルズの守護者だと言った後ではほとんどこのGuadiansという名称では呼ばれずそれが少しさびしく思われました。まあ確かにmonkだしsoldierなんだけど…。

また、互いに互いを心中呼ぶときもAlexander版ノベライズでは多くはbrotherと言っていましたが（他にもいろいろと言っていてそれもまた良い）こちらではほぼfriendのみ（10章でジンが形容としてbrotherのようだとは使いますが）。brotherと呼び合うことによりただ友人であるだけでなく信仰の下での同志的な意味合いと長くともにいた家族的な意味合いや義兄弟といった多義的な意味合いが同時に感じられるのがよかったのですが、児童向けゆえキャラクター定義をわかりやすくしてあるのかなと思われました。

A stormtrooper who wasn't start enough to play dead began to stir, and the soldier shot him again. He gave the stormtrooper a firm stay down nod, then glanced around to scan for other threats.（p.36）

映画でもあった「もう少しで当たるところだった」「礼はいらねえ」の後に起き上がろうとしたひとりのストームトルーパーを再度ベイズが撃つシーンですが、Alexander版ノベライズでは、見もせずに撃った、の一言で終わらせているところをこちらでは、まるでそのまま寝とけと言わんばかりに撃った、という言い方の違いがおもしろいなと思いました。
男は辺りを見回し敵がもういないことを確かめる。

キャシアン視点。
パルチザンに捕らえられ牢に入れられるキャシアンたち。

The monk settled down and began chanting. Cassian hoped he would eventually give up, but he seemed tireless.
After a while（p.40）

Alexander版ノベライズではキャシアンは連れ去られたジンについて考えるので手一杯といった感じでしたが、こちらでは延々と詠唱を続けるチアルートに諦めればいいのにとキャシアンに思われつつ、疲れを見せずチアルートは唱え続けます。

"Baze Malbus was once the most devoted Guardian of us all."
That surprised Cassian. The soldier had once been a monk like Chirrut? Had it been the Imperial occupation of Jedha that had so change him? If so, how had Chirrut maintainde his faith while Baze had so completely abandoned it?（p.40）

チアルートの「ベイズ・マルバスもかつては我らの中でも最も忠実な守護者だった」という言葉に驚愕するキャシアン。
Alexander版ノベライズではこれでこの男の名前もわかったと思うだけでからかいの言葉を返すキャシアンでしたが、こちらではこの事実そのものに驚きます。キャシアンは、この男もかつてはチアルートのような僧だっただなんて信じられない。帝国のジェダ占拠はこんなにもひとりの男を変えてしまったのか？そしてそんな中でこのチアルートは自分の信仰を保っているのか？と感嘆の念も覚えているようです。

"There is more than one sort of prison, Captain. I sense that you carry yours wherever you go."
Cassian looked away. The remark jabbed him harder than he cared to let on.（p.41）

映画中にもあるチアルートの「君の牢は己の心の中にある、キャプテン」という指摘。Alexander版ノベライズではチアルートがなぜ自分がキャプテンであることを知っているのだろうという疑問もキャシアンは抱きますがここではその疑問は出てこず、チアルートに自分自身直視したくない部分への鋭い指摘を受けたキャシアンが目を逸らす記述のみに終わっています。

キャシアン視点。
ジンがひとり連れて行かれてから時間がたちすぎていると不安がつのるキャシアン。パルチザンメンバーの様子から状況を読み取ろうと苦心しています。
その横で隣の牢にいるボーディーにチアルートが気付き指摘するシーン。ベイズが隣の牢を覗きます。

Baze walked toward the bars separating them from a man huddled in the darkness. Baze peered at him and then curled up him lips as if tasting something foul. "An Imperial pilot".（p.48）

汚らわしそうに「帝国軍のパイロットだ」というベイズ。映画でのボーディーに向ける視線のチアンさんの演技が本当にすばらしいと何度見ても思います。

キャシアン視点。
デス・スターによってジェダへ攻撃がなされ、キャシアンたちはその混乱に乗じて牢を脱出する。

The moment Cassian go to the door open, he burst out of the cell. Baze went right after him, calling for Chirrut to follow.（p.53）

Alexander版ノベライズではベイズはチアルートを掴んで牢から引っぱり出しますが、ここでは自分についてくるよう呼びかけている。

"Get the pilot!" he said to Baze. "We need him!"
Baze didn't understand all the reasons for that, Cassian knew, but the man decided to trust him anyhow. "All right. I'll get the pilot."
Cassian didn't know if Baze meant to save the pilot or kill him. He understood the grudge the man held against Imperials, after all. But Cassian decided he didn't have time to do anything other than trust Baze, too. He sprinted off to find Jyn.（p.54）

ベイズにパイロットを連れてくるよう要請するキャシアン。
Alexander版ノベライズでは自分の心中の葛藤でいっぱいいっぱい（ジンを見捨てるか救いに行くか迷う）でふたりにはそう言い置いてすぐに行ってしまうキャシアンでしたが、こちらではパイロットが必要な理由を知っている自分とは違ってこのベイズはその理由を知らないことに思考を向けます。でもベイズはわかった連れて行くと言い、キャシアンはベイズの言うgetがパイロットを守るのか殺すのかその意味に確信は持てないながらも、時間のない今はこの帝国を憎み抵抗する気持ちを持つ男を信じる以外にどうすることもできず、ジンを探しに走り出す。

ジン視点。
キャシアンがジンを救出し、ソウの隠れ家から脱出する。

They came up bihind a man in an Imperial pilot's uniform, who had to be the prisoner they'd gone to Jedha to find.
Cassian didn't even stop as he charged past the man. All he did was shout, "Move!"
The monk and the soldier fell in behind the pilot, and all five of them ran as fast as they could.（p.57）

キャシアンとジンは他の3人と合流し走り出す。ジンはボーディーを見るのは初めてですが、帝国軍パイロットの制服を着た男を見て、彼こそがジェダにまで来た目的、探していたパイロットであることに気付く。

When they reached the end of the ledge, though, the U-wing they'd flown to Jedha came banking in hard for a pinpoint landing. Jyn spotted K-2SO at tge controls. She'd never been so happy to see an Imperial security droid.（p.57）

ジンはキャシアンがどんな計画を持っているのかわからず彼について他の3人とともに走りますが、そこにUウィングが現れる。運転席にいるK-2SOを見たジンが、このドロイドを見てこれほどうれしいと思ったのは初めてと考えるところがおもしろいですね。

Somewhere down there, Saw Gerrera stared up at the apocalypse that had come to Jedha and breathed his last. Jyn didn't have time to mourn him at that moment. She was too busy worrying about her own survival.（p.57-58）

K-2SOの操縦で5人を乗せたUウィングは飛び立つ。
このどこかでソウ・ゲレラはジェダと自分の息の根を止める黙示録を受け入れているはずだが、ジンは自分が生き残ることに精一杯でその死を悼む余裕はなかった、というところが辛いですが、映画ではソウを探すかのようなジンの視線が痛ましかった…。

キャシアン視点。
ジェダからUウィングで脱出した一行。

Baze just scowled like he'd always expected this sort of horror to be visited on his homeworld. Chirrut kept shaking his head back and forth like he couldn't believe it.
"Baze, tell me," Chirrut said, "All or it? The whole city?"
Unlike the rest of them, the blind monk hadn't watched the Death Star blast Jedha City to pieces. No one who had seen that could doubt there was nothing of the Holy City left, but the man needed his friend to confirm it for him.
"Tell me," he said again.
Baze didn't say anything to soften the blow. He simply replied, "All of it."（p.62-63）

ベイズはまるでいつか彼の世界にこんな恐ろしいことが起こるだろうと予期していたかのように怒りに顔をゆがめ、チアルートの方は信じられないといったように頭を前後に振り続けている。
「ベイズ教えてくれ」、全部か？と聞くチアルート。
他の皆とは違ってこの盲目の僧はデス・スターがジェダシティを粉々にするところを実際に目では見られなかったのだ。誰にも説明が不要なところを、彼は友人に聞くしかないのだ。
彼は「教えてくれ」と繰り返し、ベイズはごまかすようなことはしなかった。彼は簡潔に答えた、「全部だ」。

He frowned deeply at the memory of what had just happened to Jedha City. "Guess it was too late."
Jyn shook her head. "It wasn't too late"
Baze snorted at that. He and Chirrut had lost just about everyone they knew. "Seems pretty late to me."（p.64）

遅すぎたんだと後悔するボーディーに、ジンは遅すぎはしないと答える。
それを聞きとがめたベイズが、俺にとってはちょっと遅かったな、と口を挟む。 "pretty"というのはものすごい嫌みですね。

彼とチアルートは知人を全て失ったのだと書かれていますが、もちろんボーディーもジェダの生まれなので彼自身も全てを失っている。
ボーディーはいつから帝国軍で働いているんだろう？彼は25歳ですが、ジンやキャシアンのように戦災孤児という身の上で幼い頃から軍の中にいるというわけでもなさそうですし、『Star Wars : Rogue one : the ultimate visual guide』（p88-89）や『Star Wars : Rogue one : secret mission』（p52-53）を見ても彼が自分の故郷を破壊し占拠したことで帝国を恨んではいてもそれに対して無力な自分が何かできるとも思わず、ただ飛ぶことが好きだったからパイロットとして帝国で働くようになった、といったことしか書かれていません。
ジェダ占拠がいつからだとしても自らの意志で働き出したんだとしたら、数年といったところでしょうか。両親や友人がまだジェダにいたかもしれない。Alexander版ノベライズでは"I have a family"ともパルチザンに捕らえられた時に話しています。（p28）

ジンは父親ゲイレンのメッセージ内容を皆に伝える。
ジンを信じないキャシアンと、信じると言うチアルート。一行はそのままイードゥーへと向かいます。

ジン視点。
一行はイードゥーに到着。

Jyn hahd almost stared to like Cassian. He'd done well in Jedha City. She could see why the Reberlion had sent him along with her onthe mission, as dangerous as it was. He could handle just about anything thrown at him, and she respected that.（p.74）

ジンがキャシアンを好きになってきたと言う本文。ジェダで起きた様々な状況に対応した彼の有能さにこの危険な任務になぜ反乱軍が彼をジンとともに派遣したか理由がわかった、と彼を認め始めている。
ボーディーとともに出かけた彼はきっと他のメンバーを休ませようとしているのだろうとジンは好意的に考え、この嵐の中外に出なくて済むことに感謝すらしていた。
だがチアルートの声が聞こえる。

Chirrut spoke up. "Does he look like a killer?"
For a moment, Jyn wasn't sure if the monk was talking to her or someone else. Either way, Baze answered first.
"No. He has the face of a friend."
That still mystified her. The two men had the way about them of longtime friends who shared so much background they didn't need to explain much to each other, but she wasn't in on that with them.
"Who are you talking about?" she asked.
Baze nodded at the door. "Captain Andor."（p.74）

「彼は殺し屋に見えるか？」とチアルートが聞いた。
ジンは一瞬彼が誰に話しかけているのかわからなかった。ベイズが答える、「いいや、親切そうな顔をしてるぜ」。
ジンには意味がわからない。このふたりはきっと古くからの友人同士で長い時間を共有し多くを伝えなくてもわかりあえるのだろうが、自分にはわからない。「誰のことを話しているの？」ジンが聞くと、ベイズはドアの方を見やり「キャプテンアンドーさ」と答える。

Alexander版ノベライズでは多くの説明を要しない友人同士なのだろうとふたりの関係を推測する場面はなかったな。
なぜと聞いてもそれ以上ベイズは答えなかったのでジンは直接チアルートに質問を投げかけ、K-2SOの補足を受けてキャシアンの真意を察し彼を追って嵐の中出て行く。

ベイズ視点。
ジンの出て行ったUウィング内。

Alexander版ノベライズと同じくここでの語り手はベイズですが、あちらでは雨からジェダでの自分の幼少期のことを連想し思い出す、しかもどちらかといえば懐かしく優しい記憶でしたが、こちらでは違う。兵士として戦っていたある雨の日のことを思い出す。

Baze watched Jyn leave the U-wing, and he frowned in desapproval. He'd been in situations like this before with a group of soldiers, all on the edge. They needed to work together-to act like a team-if they wanted to survive, but instead the people who were supposedly leading their trip seemed set on keeping the rest of them in the dark.
He felt too sad to care much about it though, instead, his thoughts kept returning to his poor, dear, absolutely destoyed Jadha.
He had been born and raised there, and no matter how far he might have wandered from it at times, it had always been the venter of his universe. Everyone he'd grown up with. The priests. The Temple.
Gone. All of it.
The only exception was Chirrut.
True, Chirrut was his oldest and best friend. The two shared a bond that nothing else in their lives had managed to fracture. Somehow, it had even survived the destruction of their homeland.
But now where was their home? Where did they belong? And-most important, baze thought-what could they do to take revenge on the monsters who had murdered so many?（p.76）

生き残るためにはチームとして協力することが必要で、休める時には体を休めておかなければならない。ジンが出て行ったことに不服は覚えたけれども今そのことについて考えるには彼の中を満たす悲しみが大き過ぎた。もちろんそれは破壊された彼の不幸な愛おしいジェダについてだ。彼はそこで生まれ育ち、長い年月を過ごした。時に離れてどんなに遠くさまようことがあってもジェダは彼の宇宙の中心で、ともに生きた人々がいた。僧たちも、寺院も。
失われた。全部。
彼に残されたものはチアルートだけだった。
真実、チアルートは彼のもっとも長いつきあいの、そして親友だった。ふたりはこれまでの人生において何にも壊されないきずなを持っていて、今また故郷が破壊されたにも関わらずふたりは生き残った。
だが今や彼らのhomeはどこだろう。何に属しているのだろう。そして一番重要なことは、これほど多くのものを殺した怪物に自分たちはどうすれば報復できるのだろう。
自分の物思いに没入していたベイズは、ふいにチアルートが動き出し出口に向かっていることに気付く。

"no matter how far he might have wandered from it at times, it had always been the venter of his universe"というフレーズがあるのですが、『Star Wars : Rogue one : the ultimate visual guide』（p.94）に書かれている、信仰を失ってからベイズが寺院を離れジェダ内外で帝国との戦闘に参加していたという時期を指しているのかと考えました。フォースへの信仰を失い寺院を去っても、ジェダから離れていても、ジェダは彼の故郷であり、寺院も含めて彼の心の拠り所であり続けたと書かれていることにとても感動します。
また、Alexander版ノベライズではベイズは"home"はよく口にしますが、かたくななまでに絶対に"Temple"という言葉を使わなかった（と思う）。それがこのジュニアノベル版ではこの自分が帰属していた場所として寺院にまで言及していることが切ない。

『ローグ・ワン』では"hope"という言葉とは別に、この"home"という言葉もとても大切にされています。それは物理的な場所であるとともに、心の居場所でもある。ジンはずっと"home"を探していて、だからこそキャシアンがこの後"Welcome home"と彼女に告げるシーンに感動を覚える。『アート・オブ・ローグワン』（p38）では、エリック・ティーメンス（コンセプト・アーティスト）により監督ギャレスが意図を示すために描いた図について下記のように語られています。

物語は常に円環を成していた。それは主人公の生家から始まり、暗黒街が登場し、兵士たちの反撃へと続き、そしてギャレスは最後にはジンを家に帰らせることを望んでいた。物語は彼女の家から始まり、彼女が（隠喩としての）家に帰ることで円環が閉じられる。

ジンの"帰還"とは物理的に彼女が自分の育った家に帰ることを指すのではなく、失われた家族の再発見であり、ジンとは戦争の中で失われた家に帰る道を探している少女だ、と書かれています。Alexander版ノベライズではジンは家族を2度、生みの親と育ての親を失ったと述懐していました（p.125）。彼女はずっと失ったものを探している。
『ローグ・ワン』とは、これも帰還の物語なのです。失ったものを取り戻し、そこに還る物語。

本文に戻ります。

As far as Baze was concerned, though, Chirrut wasn't going anywhere without him-certainly not out into that storm. He pushed himself to his feet and padded after his friend.
When they emerged from the U-wing. Baze glanced around to make sure Jyn was in fact gone. Chirrut didn't seem concerned about that at all. He simply went out into the rain, tapping his stick on the unfamiliar ground before him. Perhaps he could feel her tracks that way. It wouldn't have surprised Baze.（p.77）

チアルートは彼なしにどこにも行けない、ましてやこんな嵐の中では、とベイズは思う。彼は友人の後を追う。Uウィングから見わたしても、もうジンの姿はどこにも見えなかったが、チアルートはそれを気にしているようではなかった。彼は無造作に雨の中に出ていき、地面に杖をついた。おそらく彼はジンの進んだ跡を感じることができるのだろう。それはベイズを驚かせなかった。

すごいなチアルートの嗅覚、じゃなくて感応能力。ベイズさんもそれには慣れっこです。
さて、いよいよあの場面です。

"Where are you going?" Baze asked Chirrut. It was insane for a blind man to wander around in storm-swept mountains on the outskirs of an Imperial base, and they both knew it.
"I'm going to follow Jyn," Chirrut said. "Her path is clear."
Baze supposed he understood that choice. The woman had the mission she'd announced to them all, and she had set out to do it. About Cassian, Baze wasn't so sure.
"Alone?" Baze said. "Good luck."
He didn't want to do this. Let Jyn and Cassian and the Imperial pilot wander around and get lost in the rain. Let them betray each other. Baze just wanted to stay dry and plot his revenge.
"I don't need luck," Chirrut said. "I have you."
Baze grimaced at his friend. He knew he couldn't let Chirrut take off from the ship on his own. The man had called Baze's bluff. He had no choice but follow him, like it or not.（p.77）

「どこへ行くんだ？」とベイズが尋ねる。盲目の男がこんな嵐の中、山中にある帝国軍基地周辺をうろつくだなんて正気の沙汰ではないことぐらい互いによくわかっている。
「ジンを追う」「彼女の進む道はクリアだ」と映画と同じく答えるチアルート。
「ひとりでか？」「幸運を」ベイズは言う。
彼はそんなことはしたくなかった。ジンもキャシアンも帝国のパイロットも（ボーディーの名前を覚えてやろうとしないベイズさんに笑える）、雨の中彷徨わせてやればいい。互いに裏切らせておけばいい。 ベイズはこの乾いた場所にいて、自分自身の復讐計画について考えていたかった。
「幸運は必要ない」チアルートが言う。「私にはお前がいる」
ベイズは顔をしかめる。チアルートにはベイズが彼をここからひとりで行かせることなどできないことがわかっていた。彼はベイズを挑発しているのだ。ベイズが望むと望まぬとに関わらず、選択の余地などない。

ぐはあ。
"bluff"は辞書をひくとはったりをかますこと、名詞だと虚勢をはっている人。"call bluff"になると、相手がはったりをかませているんだろう、やれるものならやってみろという挑戦の意をもつ熟語であるらしい。ということは、ひとりで行かせられるというのならやってみろよ、というチアルートの挑発発言、に、なる…のか…な…。…ひぃ。映画ではベイズが自分を追うことを信じて疑わないいっそ無邪気なほどの全幅の信頼を根底とした発言のように私はとらえていましたが、信じて疑わないという点では同じでもなんともこちらは随分と強気の煽り発言です…。
"He had no choice"。チアルートに関しては、ベイズに選択権などないのです。
Alexander版ノベライズの方ではこの場面にはあえてベイズの心中描写がなくそれはそれでまたすごかったのですが、こちらはこちらでまたすごかった…。ジュニア版、やるなあ…。

ジン視点。
スカリフでの戦闘。反乱軍の襲撃があり、爆撃に巻き込まれてゲイレンは死ぬ。キャシアンがジンを救出する。

Jyn saw the distinctive bolt of a lightbow shoot out from another spot in the mountains and lance straight through a TIE fighter. The spacecraft spun like a runaway top and came smashing down into the turret. Everything flared white in a massive blast that shook the platform once more.（p93）

Alexander版ノベライズの方ではライトボウの射撃を目撃して人影を見つけるのはキャシアンでしたけど、こちらではジン視点となっています。

キャシアン視点。
イードゥーからの脱出。

Jyn and Cassian raced aboard the ship, and Bodhi was there to greet them and help them inside. Eager to leave, K-2SO started to take off, but Cassian ordered him to stop long enough for Chirrut and Baze to get on board, too.（p.97）

予告通りチアルートとベイズを置いて出発しようとしたK-2SO(笑)にキャシアンはふたりを待つよう命令し、全員が揃ったところで離陸します。
そしてジンはキャシアンを糾弾する。あなたは私の父親を殺すためにここに来たのだと。反乱軍が父を殺したのだと。

She looked to the others. K-2SO kept focused on flying the ship, but Bodhi had turned around. She could see in his eyes that he knew she was right.
Baze saw it, too. Even blind Chirrut knew.
"They know. You lied to me about why we came here, and you lied about why you went up alone."（p.98-99）

ジンは他の皆を見やる。K-2SOは船を操縦することに集中していた。だがボーディーはこちらを見ていた。ジンは彼がジンの言うことが正しいと思っていることを彼の目の中に見る。ベイズにも、盲目であるチアルートにさえもこれは明白だった。
「彼らにもわかってる。あなたは私に嘘をついた」
何のためにイードゥーに来たのか。そして皆を遠ざけて彼がひとりで何をしようとしていたのか。

一度は信じ始めていただけによりキャシアンの裏切りに衝撃を受けたジンは、父親を失った悲しみと裏切られた苦しみを全てキャシアンに向け彼を糾弾する。
意に沿わない任務に従わなければならない使命と隠された良心に板挟みとなっていたキャシアンは、自分を糾弾するジンに爆発する。
互いにさぐりあっていたふたりが初めて自分の内面を相手にさらけ出す瞬間。この瞬間があってこそキャシアンは初めて目を逸らし続けていた自分の内面と向き合うことができ、この後自ら自分の行動を決めるという決意を持つことができるようになったのだろうと思うと大好きなシーンです。

ジン視点。
反乱軍評議会の会議のあと、皆の元に戻ってくるジン。

"She want to fight," Chirrut said.
"So do I," Bodhi said. "We all do."
Chirrut pondered this. "The Force is strong."
Jyn looked at the others and actually considered taking them seriously. It woudl be madness, right? "I'm not sure the four of us is quite enough."
Baze nodded to Bodhi. "How many do we need?"
"What are you talking about?" She'd already counted Bodhi, and the Imperial polot didn't have any friends in the rebel base, defectot or not.（p110）

ベイズ、チアルート、ボーディーは戦うというジンに賛同しますが、実際のところ彼らを見渡して正気の沙汰ではないとジンは思う。「4人じゃ十分とは言えないわね」。
あと何人必要なんだ？をボーディーに向かって頷きながら言うベイズ。お、ベイズさんボーディーに打ち解けてきました(笑)
何言ってるの？と言いつつジンはボーディーは友達いないのに、失礼、反乱軍基地には知り合いがいないのに、と思う。そしてベイズに促され振り返ったジンは、キャシアンたちが近付いてくるのに気付く。
そしてキャシアンの演説。

本当にここが好きで…。ジンもキャシアンも元々戦災孤児で少年兵で、物心もつかないうちから望んでもいない戦争に身を投じてきた。ジンはそれをずっと"pain"、痛みであったとジェダでソウに語った。キャシアンもずっと自分の心から目を背けて大義のためだと自分自身に言い訳をしながら日々を過ごしてきた。ここで諦めればそれだけを理由に後ろ暗い任務すらこなしてきた意味がなくなってしまう。人々を救うためにあえて自分を殺し帝国軍の兵器に弱点を作ったジンの父親。父親の意志を継ぎ人々を救おうとしているジン。彼女を助けることを、命令されたからではなく、自分自身の意志で選びたい。自分自身を取り戻したい。キャシアンの決意。
最悪の時にはいつもひとりだったというジンにキャシアンは言う、"Welcome home"。
その言葉は彼女を救う。

It had been a long time since she'd felt like she belonged anywhere-or with anyone. Her father's death had hammered that home.
This crew, these people, they were now more her home that any place she'd known since Saw had abandoned her.
Despite how insane the mission that had brought them together might be, she discovered she liked it.（p.113）

長い間どこかにもしくはだれかとともにいるという感覚からは遠ざかっていた。そして父親の死がhomeを打ち砕いた。
でもこの人々、彼らはかつてソウに捨てられたと思った時以来の、いまや彼女の居場所として今まで以上のものとなった。
彼らを結びつけてくれるというのならどんなにこの任務が困難なものだとしても、ジンはこの戦いを好ましく思っていることに気付く。

ジン視点。
貨物シャトルに乗り込んでヤヴィン4を出発します。

The others were already there-all people Cassian had brought over before, plus a few more.
That inclued Chirrut and Baze, who looked like they'd been the viewport, Bodhi had already climbed back in the pilot's seat, and K-2SO had taken the copilot's position once again.（p.114）

ジンが乗り込むとすでにキャシアンが連れてきた面々や、チアルートやベイズが乗り込んでいた。ボーディーは操縦席に座り、K-2SOは副操縦士席に座っている。すっかりいいコンビとなっていますね。
ジンが"May the Force be with us"と皆に告げ、ボーディーはコントロールセンターに「Rogue One」とコールサインを出して離陸する。「ローグ・ワン」の誕生です。

With "us"。
スター・ウォーズ世界ではこれまで"May the Force be with you"がお決まりのフレーズで「フォースと共にあらんことを」と訳し、相手の無事や幸運を祈るグッドラック的な意味合いを持って相手に贈る言葉として使われることが多いフレーズでした。
ところがこの『ローグ・ワン』ではチアルートの"I am one with the Force"やこの"May the Force be with us"といった、「我はフォースと共にあり」「我らはフォースと共にあり」という自分を守るものとしてフォースの存在を意識し自らを鼓舞する使われ方がされていたり、またラスト近くではラダス将軍により"May the Force be with you"が鎮魂の意をもって使われるなど、多様な使われ方をされているのが印象的です。

ボーディー視点。
スカリフへ向かう貨物シャトル内。
彼は嘘が嫌いなのに、これからすべきことを考え重圧に苦しんでいる。

The throught of the destruction of jedha City still made him ill. All the people he'd ever known growing up-all gone.
Murdered by the Empire.
Betraying the Empire had been the right thing to do, but now the only people he could trust were right there in the stolen dhuttle with him. And they were depending on him. And they were depending on him to lie dor them.
Otherwise, they'd never land on Scacrif, and their mission to find the Death Star's plans would come to a swift and probably fatal end.（p.119）

帝国によるジェダシティの破壊が彼をまだ苦しめていた。帝国は彼の故郷を破壊し、彼がこれまでに知っていた人々を殺した。帝国を裏切り、今ここに、この貨物シャトルの中にいる仲間だけを彼は信じ、自分を頼りにしている彼ら仲間たちのために嘘をつかなければならない。
さもなければ彼らは永遠にスカリフに着陸することはできず、デススターの設計図も手に入れることができず、そして死ぬ。

As Bodhi flew the shuttle toward Scarif, he rehearsed the lies he'd already made up in his head. he wondered if he should ask Chirrut to pray to the Force for him, but it was too late for that. He wasn't sure if his lies were any good, but they would have to do.（p.119）

彼はスカリフへ行くシャトルを飛ばしている間、頭の中で考えた嘘を練習していた。チアルートに彼のためにフォースに祈ってもらいたいと思ったが、すでにそれには遅かった。彼の嘘がどんなものでも、もうそれをするしかないのだ。

ボーディーがチアルートに祈ってほしいと思ってる！おお…そうだボーディーはジェダの民だった…とちょっと感動。
ボーディーは元帝国軍パイロットという属性が強すぎて、ついジェダの青年だということを忘れてしまいます。ジェダシティで育った彼にとってウィルズの守護者はどういう存在なんだろう。巡礼地であるジェダでは信仰はすぐ側にあるものでしょうし、信者ではなくても宗教的観光地として生活とは深く関係があったと思われます。
占拠される前に守護者たちを見たことがあったんだろうか。占拠後市場で托鉢をしているチアルートを見たことはあったんだろうか。いろいろと考えてしまいます。
守護者のふたりとボーディーは映画内ではあまり言葉を交わしませんが（初っぱなからベイズからは睨まれるばかりだし…）、同じジェダの民であり、そして生き残りなのでした…。

Then they had to wait to learn their fate. Would they be waved through or blown into atoms?
It seemed to take forever. Bodhi glanced back and saw Jyn holding the kyber crystal from her necklece like it was some king of good-luck charm. Chirrut was too far back for Bodhi to know if he was praying. Either way, though, he'd take all the help he could get.（p.121）

スカリフゲートにコードを送った後、永遠にも思える回答を待つ一行。
後ろを見やるとまるでカイバー・ネックレスに祈るかのようなジンの姿が見える。チアルートが祈っているかどうかはボーディーからは姿が見えない。どちらにしろやることはやった。

ここでもチアルートの祈りを気にするボーディ。
そして彼らは許可をもぎとりスカリフに着陸する。

ジン視点。
彼女は船内を見わたす。

"Sow Gerrera used to say, 'One fighter with a sharp stick and nothing left to lose can take the day.'" She swallowed hard at the thought of the man who had raised her for a time, now gone.
"They have no idea we're coming. They have no reason to expect us. If we can make it to the ground, we'll take the next chance. And the next. On and on until we win or the chances are spent.
The Death Ster plans are down there. Cassian, K-2, and I will find them. We7ll find a way to find them."（p.123）

着陸を告げたキャシアンがジンを見やり、ジンは仲間たちにソウの言葉を伝える。必ず自分たちがチャンスをつないでいくんだという決意を告げる。
自分を育てた今は亡きソウへの想いを強くこらえながら話す、という描写が切ないです。

ジンとキャシアン、K-2SOが内部に潜入し、他のメンバーはメルシー、パオ、ベイズ、チアルートが先導して陽動作戦を行う作戦が告げられる。
それにしても…ジンとキャシアンは別として、ボーディーはじめ他の反乱軍メンツは戦っているチアルートを見たことがないのでこのジェダの盲目の僧のことをどう思ってたんでしょう(笑) キャシアンからある程度の事前説明はあったのでしょうが…あ、ボーディーはジェダの民だからウィルズの守護者の持つ戦闘能力の高さをもしかしたら知っていたかもしれませんね。

チアルート視点！
スカリフ上陸です。

Alexander版ノベライズではチアルート視点はマスタースイッチへと一歩を踏み出す場面からでしたが、こちらジュニアノベル版ではスカリフ上陸からAT-ACTから逃げる場面までです。チアルート視点が一箇所しかないのは同じですが、違う場面が描かれるのはチアルートの内面をより多く知ることができてうれしい。

Chirrut had not ever expected to find himself on another planet, fithing to help destroy the deadliest weapon in the galaxy. But after the Death Star blew his hometown - Jedha City - to pieces, he didn't have anything else to do or anywhere else to go.
He'd lost almost everything in that attack: his friends, his family-even the Holy City itself. The only thing he had left was his faith in the Force and his best friend, Baze.
That was what had taken him to Scarif. It would have been easy for him to plead off after Cassian and Jyn had taken him to Yavin 4. He was blind, after all, and most people expected less of him because of that. He could have asked to be led away from all this, and no one would have questioned his choice.
He would have known, though, and so would Baze. Just because he couldn't see didn't mean he couldn't be useful in the fight against the Empire. And if there was any chance at all that he could help stop the Empire from using the Death Star to utterly conquer the entire galaxy, how could he walk away from that?（p.138）

チアルートはまさかこの宇宙で最も恐ろしい兵器を破壊するために戦う人々を助けるため自分が他の星へ来ることになるなどまったく予期していなかった。だがデス・スターが彼の故郷であるジェダシティを粉々に打ち砕いたあととなっては、もう彼のすべきことも行くべき場所もなかった。
彼はこの攻撃で、友人も家族ももちろん聖なる都市そのものも何もかも失った。残されたものはフォースへの信仰と親友のベイズだけだった。
何が彼をスカリフへ連れてきたのか。キャシアンやジンにヤヴィン4へと連れてこられた後、彼は拒否できたかもしれない。彼は結局のところ盲目であり、それによって多くの人々は彼に期待してはいなかった。彼は全ての事柄から離れることを願うことだってできたかもしれない。誰も彼の選択を疑問視しなかったかもしれない。
だが彼は知っていた、考えていた、そしてベイズもだ。彼が見ることができないからといってそれは帝国との戦いに役立てないことを意味しない。そして帝国がデス・スターを使って全宇宙を徹底的に征服することをもしも止められるチャンスがあるのだとしたら、どうして彼がそこから立ち去ることができるというのか。

ちょうど前章でも書きましたが、やはり盲目であることによって自分は他の人々から期待されていないだろうとチアルート自身が感じている。でも自分の目が見えなくても役に立てることは自分自身もベイズも知っているし、帝国を止めるために少しでも役に立てるのであれば、そこから逃げはしないと語っている。

聖都とともに友人も家族も失った、と言っているのにちょっと驚く。家族って寺院の人々のことかもしれませんが、実の家族はいるのだろうか…。カイバー寺院にはどのように来たのだろう。ジェダに幼少時寺院に預ける習慣などあるのか、孤児であって寺院に預けられたといった事情があったのか、それとも成人してから自分の意思で出家したのか、などなど気になります。ベイズとチアルートは子どもの頃から一緒だったと劇場パンフレットでチアン・ウェン氏が語っていましたが（p35）、それが寺院での出会いであったのか、それともそれ以前からであったのかはわかりません。

また、ジェダ外に出たことのあるベイズとは違ってチアルートはジェダから出たことはなかったように思われますが、他の星へ来たことがないという冒頭の言葉は戦いを助けるためという目的を伴った言葉なので、全く出たことがないとは明確には言っていない。とはいえ『Star Wars : Guardians of the Whills』ではメサ外の砂漠へ出かけた時、ジェダシティから出たことはある（p.83）、くらいの言い方だったので、やはりジェダから出たのはジェダが破壊されて初めてだったのでは、と思います。

He had the echo-box tranmitter on his belt; that helped him figure out where he was in the world. Plus he had Baze.
And most important, he still had his faith in the Force.（p.138）

彼はベルトにエコーボックスをつけていた。これが世界の中で彼がどこに位置するか把握するのを助けていて、彼にはベイズもいた。
そして最も重要なことは、彼がまだフォースへの信仰を保っていることだった。

ベイズさんがエコーボックスと同列な上にフォースに負けています(笑)がんばれー。

チアルートはベイズや反乱軍の兵士とともに移動し、タワー周辺に爆弾をしかけていくのを助ける。やがてメルシの指揮により爆発が起こされると、戦いに加わった。
始めは反乱軍が優勢であり、彼らは姿を隠しつつうまく戦っていた。ストームトルーパーたちもブラスターしか武器を持っていなかった。だがチアルートはこれまで聞いたことのないようなある音を聞きつける。エンジンの音ではあるけれども、すさまじく大きなまるでお話に出てくる怪物のようなもの。いまだ爆発の煙で姿は見えず誰も気付いていないようだが、チアルートにはわかった。それらがやってくる音に、それが何であるにしろチアルートはすべきことに気付いた。彼はベイズを呼び、走り出しながら逃げろと叫んだ。誰かが「AT-ACTだ」と言う声が聞こえた。

Whatever they were called, the massive machines opened fire on the rebels. Blaster fire erupted all around Chirruto as he raced for cover with Baze right behind him. Explosions seemed to surround them, but they weren't about to give up.
Chirrut knew the real battle was just starting.（p.138）

なんと呼ばれるものであろうと、この巨大な機械は反乱軍に攻撃を始めた。ブラスターの爆発は彼らの周囲を取り巻いたが、だが彼らは諦めなかった。
チアルートは、ここが真の戦いの始まりだと思う。

ベイズ視点。

Baze Malbus had seen enough violence in his time, and he had come to hate it. That was one of the reasons he'd stuck with his friend Chirrut for so long. The monk helped keep him centerd, even after he'd lost his own faith in the Force so long before.
Now, though - with Jedha City gone, along with everyone in it he had ever known - Baze had decided to embrace violence one again. （p165）

ベイズ・マルバスは十分暴力を見てもうそれを憎むようになっていた。それが彼の友人であるチアルートと長くともにいる理由でもある。かの僧は彼がすでにフォースへの信仰を失っているというのに、それ以降もずっと彼が自分自身を保つことを助けてきたのだ。
だがしかし、ジェダシティが彼の知る全ての人々とともに消し去られた今、彼は再び暴力を利用することを決意した。

んん？ジェダ内外での戦闘で暴力に嫌気がさしてジェダシティに戻ってきていたんだとしても、パルチザンと共闘していた『Star Wars : Guardians of the Whills』が『ローグ・ワン』半年前という設定なので少し矛盾しますね。ですがあの物語でもパルチザンによってジェダに更なる暴力がもたらされると気付いて共闘をやめたので、矛盾ではないのかもしれない。

Melshi steeled himself and then dashed out into the open.
The other rebel soldiers tried to offer him coverting fire. Baze joined in, and Chirrut-who was hankered neaby-assisted with his lightbow.
Melshi got farther than Selfa, but he still fell short of reaching the master switch.
Baze didn't know what to do. He expected one of the other rebel commandoto give it a try next. Or maybe they should all run at the switch together and hope that one of them managed to get through?
Before he could suggest anything, though, the choice was taken from him.

セルファが倒れた後メルシが撃ちながら走り出し、他の兵士たちが援護射撃を行う。ベイズもそれに加わり、チアルートもライトボウで援護した。
しかしメルシはセルファより遠くへは行けたけれども、それでもマスタースイッチまでは行き着けず倒れた。
ベイズにはこれ以上どうすればよいかわからなかった。他の兵士たちが続くことを期待するか、または皆で一斉に飛び出し誰か一人でもたどり着けることに期待するか。
だがベイズが他に案を思いつく前に、何かを選択するよりも前に。

映画でもAlexander版ノベライズでも、建物の影に隠れた時点ですでにセルファとメルシ、ベイズとチアルートだけがあの場所での生き残りのようでありましたが、このジュニアノベル版では他にも兵士が残っていることになっています。また映画では建物の影に隠れるべく走るチアルートはすでにライトボウを持っておらず弾切れか手から離れてしまったか持っているのは杖だけになっていましたが、ここではチアルートはまだライトボウで加勢している描写があります。

Chirrut rose to his feet and began chanting. "I am one with the Force, and the Force is with me."
Then he stepped forward and began walking toward the master switch. "I am one with the Force, and the Force is with me."
"Chirrut!" Baze shouted after him. The blind fool was sure to get himself killed!
Chirrut strode forward as if he were crossing the street. As he went, he juked this way and that, dodging incoming fire he couldn't even see. The entire time, he kept chanting his mantra. "I am one with the Force, and the Force is with me."
"Chirru!" Baze pleaded. "Come back!"
Baze was sure that Chirrut's luck would run out sooner rather than later-well before he reached the master switch-but he kept going. "I am one with the Force, and the Force is with me."
Chirrut reached the console and fumbled ariybd uts syrface, feeling for that elusive master switch. When he fount it, he pressed down hard.（p.167）

チアルートが足を踏み出し詠唱を始めた。「我はフォースと共にあり、フォースは我と共にあり」。彼は詠唱を続けながらマスタースイッチに向かって歩き始めた。
「チアルート！」ベイズは彼に向かって叫んだ。この盲目のバカは自分で死ぬ気か？！
チアルートはまるでちょっと道を横切りでもするかのような感じで歩いた。見ることすらできないのに砲火をかわし進んでいった。その間、彼は「我はフォースと共にあり、フォースは我と共にあり」という詠唱を続けたままだった。
「チアルート！」ベイズは懇願した。「戻れ！」
ベイズはチアルートがマスタースイッチにたどり着くまで幸運は続かないと思ったが、彼は進み続けた。「我はフォースと共にあり、フォースは我と共にあり」
チアルートがコンソールにたどり着き、表面を手探りしてマスタースイッチを探す。そしてそれを見つけると、押し下げた。

ベイズ視点。

Baze stared at his friend Chirrut in horror. The monk may have completed his mission, but he was far from out of trouble. The console where he had pushed the master switch was still in the middle of the fire zone.
"Chirrut!" Baze called. "Come here!"
The monk's luck ran out. He made it only two steps toward Baze before the blast from a grenade blew him off his feet.
"Chirrut!"
Heedless of the incoming fire that strafed the open ground, Baze chaged forward across the sand. He dropped down next to his fallen driend and found he was not quite dead yet. He took his hand.
"Chirrut, don't go. Don't go. I'm here..."
Chirrut wheezed at his old friend. "It's okay. It's okay." He tried to comfort Baze, even with his fainal breath. "Look for the Force, and you will always find me..."
With that, Chirrut slumped over and the last of his life left his body bihind.

ベイズは恐怖とともにチアルートを凝視した。この僧はミッションを果たしたが、彼はまだトラブルの渦中にあった。彼がマスタースイッチを入れたコンソールは砲火の渦中にあるのだ。
「チアルート！」ベイズは呼びかけた、「ここに戻れ！」
僧の幸運は尽きた。彼がベイズに向かってたった二歩歩いたところで、グレネードの爆風が彼を吹き飛ばしたのだ。
「チアルート！」
ベイズは機銃掃射に構わず砂地を走った。彼は倒れたチアルートの側に屈み込み、まだ彼に息があることに気付いた。ベイズはチアルートの手を取った。
「チアルート、死ぬな、死ぬな、俺がついてる…」
チアルートは苦しそうに息を切らせながらベイズに言った。「大丈夫だ、心配ない」彼は最後の息をしながらもベイズを慰めようとした。「フォースを探せば、いつでも私を見つけることができる…」。
それを最後に、チアルートの体から命が去った。

Baze glanced over and saw Rogue One's stolen Imperial cargo shuttle explode in flames.
had Bodhi gotten his message to the rebel fleet? Had they managed to open a hole in the shield?
baze decided it didn't matter. The stormtroopers had killed Chirrut, the last person in the galaxy he had ever truly cared about. For that, they were going to pay.（p.170）

ベイズはローグ・ワンが盗んだ貨物シャトルが燃え上がるのを見た。
ボーディーは反乱軍にメッセージを届けることができたのか？彼らはシールドに穴を開けることに成功したのか？
ベイズはもうそのことは気にしないことにした。ストームトルーパーは、彼がこの宇宙で大切にしていたたったひとりの最後の人間であるチアルートを殺した。その代償を支払わせてやる。

He stood up and began firing at anything wearing Imperial armor. As he did, he chanted a mantra, one thad hadn't crossed his lips for a long time.
"The Force is with me, and I am with the Force."

ベイズは立ち上がり、帝国の装甲をつけている者に向かって射撃を始めた。その間もう長い間口に上ったことがなかった詠唱を唱え続けていた。
「フォースは我と共にあり、我はフォースと共にあり」

Baze refused to give in. He gritted his teeth and pushed himself back to his feet, still tiring ever step of the way. The Force was with him.
As he went, he missed a half-downed death trooper who was hefting a grenade. The man pitched it into the sky, and it came down right next to Baze.
He was too hurt to grab it and throw it back. He coulen't even run from it. There was nothing for him to do but glance back at Chirrut and know the two of them would soon be reunited in the Force.
The last thing he heard was the grenade's boom.（p.170-171）

ベイズは諦めなかった。彼は歯を食いしばり、踏みとどまり、全ての歩みで射撃を続けた。フォースが彼と共にあった。
だが彼はひとりの手榴弾を持ったデストルーパーを仕留め損ね、その手榴弾がベイズの側近くに落ちた。
グレネードを掴んで投げるにはもう彼は傷つき過ぎ、そこから逃げることもできなかった。彼にはもうできることは何もなかったが、チアルートの方を振り返ることはできた。彼らはすぐに再びフォースの中でまた会える、彼はそのことを知っていた。
最後に聞こえたものは、グレネードの音だった。

***

Alexander版ノベライズとはかなり違うベイズの最期です。

どちらのバージョンでも、チアルートが最期自分の死への恐れや苦しみよりも残されるベイズに慰めを与えようとするそのことがただひたすらに切ない。
映画ではチアルートが死を迎える前にベイズが"The Force is with me, and I am with the Force"を唱え、それをチアルートが聞き微笑んで亡くなるのですが、Alexander版ノベライズでは死の前のチアルートは自分の詠唱を心に唱えて亡くなる。ジュニアノベル版ではここはベイズ視点なのでチアルートの心中はわかりませんが、同じくチアルートはベイズが詠唱をする（=信仰を取り戻す）のを聞かずに亡くなってしまう。ベイズに言葉を残し、そのまま去ってしまう。それが悲しい。

またベイズの心中もかなり違う。
もちろんこちらは児童書ということもあるのでしょうが、"know the two of them would soon be reunited in the Force"とベイズは自分たちがすぐにフォースの中で再会できることを確信しています。フォースとのつながりを取り戻せたもののあまりにAlexander版ノベライズのベイズの最期は辛いので（でも非常に好きですが）、このジュニアノベル版での確信をもったベイズの言葉に救われる気持ちでした。そう、ふたりは再会できる。

ローグ・ワンのつないだ希望は反乱軍へと届き、そしてEP4へ。
ルークに託されます。

彼らがフォースと共にあらんことを。

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	Star Wars : Rogue One : a junior novel / by Matt Forbeck Los Angeles : Disney, Lucasfilm Press, 2017.3.28 ISBN: 9781484705094
	Rogue one : a Star Wars story / Alexander Freed London : Century, 2016.12.16 ISBN: 9781780894782
	Star Wars : Guardians of the Whills / by Greg Rucka Disney, Lucasfilm Press, 2017.5.2 ISBN: 9781484780817
	Star Wars : Rogue one : the ultimate visual guide / written by Pablo Hidalgo ; with illustrations by Kemp Remillard London : DK Publishing, 2016.12.16 ISBN: 9780241232422
	Star Wars : Rogue One : visual sticker encyclopedia / by Dorling Kindersley London : DK Publishing, 2016.12.16 ISBN: 9781465452665
	Star Wars : Rogue One : secret mission / by Jason Fry London : DK Publishing, 2016.12.16 ISBN: 9781465452641
	アート・オブ・ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー / ジョッシュ・クーシンズ著 ; 小池顕久翻訳 東京 : ヴィレッジブックス, 2016.12.16 ISBN: 9784864913171
	Rogue one : a Star Wars story 劇場パンフレット 2016.12

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